0.まえがき
SNSにて、大学の頃に所属していたサークルの現役生が弾いている姿を見て、
僕はどのようにチャランゴを弾いているのか、少しまとめておこうかなと思った。
どういうフォームで弾くのかはとても大事なことだ。
僕はフォームを今後も見直し、改善していくつもりなので、このフォームがベスト、とはいえないが、
ある種のフォームを見ていて、これは良くないなというのは感じる。
そのまま練習していても、おそらく伸びない。
何故なら、トッププレイヤーでそういう弾き方をしている人がいないからだ。
正確に言うと、似たような弾き方をしている有名な人はいるけれど、
僕がトップだと思っている人にそういう弾き方をする人がいない。
そのまま練習を続け、前人たちが行き着かなかった新しい領域に
たどり着く可能性があるかもしれないが、それは難しいことだと思う。
ある時点で限界に気がついて、弾き方を直そうとなるかもしれない。
しかし、一度身についてしまったフォームを大きく修正するのは、
それを身につけた以上の時間が必要になるものだ。
彼らのフォームは誰に習ったものだろう。
サークルの先輩に教わったものだと思うんだけど、辿って行くと、僕に行き当たる訳で、
責任のようなものを感じてこれを書くことにした。(-:
これだけだとなんだか説教臭い動機であり、ほっとけばいいのにね、とも思うんだけど。
ほっといて、そこからすごい奏者が生まれたら、新しいものが学べるかもしれないし。
別の動機として、こんな話を読んだことがある。
メジャーリーグで活躍するイチロー選手が、北野武さんとの対談で
「僕は天才じゃない」と断言したそうだ。
「今年だけで僕は242本安打を打ちました。ところが僕は、242本に関してすべて、
なぜ打てたかを説明できるんですよ。本当の天才である長嶋茂雄さんとはその点が違います」
長嶋茂雄さんは選手にバッティングの指導をする時に
「ボールがビューと来たらバーンと打てばいい」と語った。
言葉よりもイメージで捉えていたということなんだと思うけれど、
僕はチャランゴの弾き方をすべて説明できるようにしたい。
どう考えて、どのように弾いて、リズムや音色を生み出しているのか。
それを文章にしてみたいと思った。
文章で表現することで、自分を客観的に見直し、新しい発見が得られるかもしれない。
イチローの説明を聞いたとして
僕に理解できるかというと疑問なのと同様に、僕の説明を聞いて、
なるほど、と思ってくれる人がいるかどうかは分からないけれど。
僕のいまの奏法はどこから来ているか。
僕はチャランゴを初めて2年目にプロの奏者である
TOYO草薙さんに習いに行き、基礎となるフォームを学んだ。
(草薙さんはかなり論理的に奏法を説明してくれた)
4年目には現地に行き、プントナスカなどで活躍するSaul Callejasと
サビアアンディーナなどで弾くDonato Espinozaに短期間であるが習い、
フォームに少し変更を加えた。
(二人を紹介して頂いたサークルの先輩には感謝しきれない)
その後は、チリのFreddy Torrealbaやウクレレ奏者のJake Shimabukuroなどの
演奏ビデオを入手して、フォームを微調整してきた。
僕が先生方の弾き方をマスターしたかと言うとそれはないと思うし、
有名人から習ったら偉いわけではないし、また現時点で上手いわけでもない。
僕より上手い人は山ほどいるし、チャランゴに命をかけていないし、
チャランゴで社会に何の貢献もしていない。
つまり、趣味の範囲。誉められるところのない、ただの暇人である。
最近ではYouTubeで様々なプロの演奏を見られるようになった。
動画を見ていくと、どんな奏者にも個性があると感じる。
奏者の音色の好み、それに身体の特徴が音に影響しているかもしれない。
どんな音を出したいかによって、弾き方が異なってくるものである。
指や手の形や大きさ、腕の長さ。
そういうとても個人的な部分が、わりと音に影響しているのではないか。
それに、楽器の個性もある。
あるチャランゴではこの弾き方よりもあの弾き方の方が望ましいというのが、
(いまの僕にとっては)あって、使い分けている。
そういうわけでここで書いてみるやり方は、どこの誰にも通じるものという訳ではないし、
明日になったら変わっていることも大いにありうる、ということをあらかじめ断っておきたい。
むしろ書くことで新しい可能性に気づき、改善するきっかけになることを望んでいる。
…と、弁明するとともに気合を入れ終わったところで続きを書き始めたら、
こっから先がすごい分量になることがわかった。
なので、本当に基礎の基礎の部分だけを書くことにします。(-:
イチローの242本のヒットには、重複はあると思うけど242個の説明があるようです。
演奏する曲や場面において何を選択するか、その選択肢について
一つ一つ対応できるよう文書化するのは分量的に無理ですね。
ある程度の幅を持たせ、特殊な箇所は削り、共通する部分
つまり基礎についてを書くことにします。
1.ストローク 各パーツの動きの説明
ストロークとは主に伴奏で使われる、いわゆるコード弾きだ。
身体の中心から指先に至る順番で各パーツの動きを説明する。
まずは、心臓。心は時に落ち着かせる。
落ち着かせようと思っている。(-:
肩は意識してコントロールしていない。
普段は脱力していて、さほど動いていない。
しかし固定している訳ではないので、大きく振りかぶった際には動く。
二の腕は肘を上下させる時に使う。
アタック音を出したい時に上腕三頭筋を意識して使うことがある。
肘の動きは単純で、ほぼ手を上下させるだけであるが、細かい動きとして、
ダウンの時は手を弦に近づけるように、アップの時は遠ざけるように動いている。
これは手首の動きと連動していて、弦との接点を調整するためのものだ。
前腕は回転運動でかなり使う。
ドアノブを回すような動きも取り入れている。(動画3秒)
本来、手首は曲げる(後述)が、これは敢えて曲げずに撮影している。
手首。
手首は曲げる。
どのくらい曲げるのかについては、その人の柔軟性などにも影響されるが、
僕はだいたいこのくらい曲げている。
このくらいから
このくらいの範囲。
この曲げ具合はストロークの最中に変化する。
上空にある時は曲がっていて、高度が下がると伸びてゆく傾向がある。
手。
人差し指から小指までは握る。
と言っても、ごく軽く、力は入れない。
このくらいから、
このくらい
の範囲で握ってる。
小指の方が曲げ率が高く、人差し指が低い。
指の関節。
密かに曲げ伸ばしが行われ、弦と爪の接点を微調整している。
指先と爪。
弦に当たって音が鳴る、すごく重要な部分。
爪は伸ばしたり切ったりすることで簡単に調整が可能で、音への影響が大きい。
どのように弦に当てるか、また、どの指を使うかでも音色が異なってくる。
意識して使い分けるところだ。
1−1.ダウンストローク
上に構えた手を下に落とす時に弦を弾く。
肘の動きは単純だ。
前腕を微妙に前後に動かしているが、意識はしていない。
手首の動き。
手首は曲げたまま、ドアノブを回す動きをする。
この時、若干、手首のスナップを効かせ、弦と爪の接点が
一定な力と角度で保たれるようにしている。
ダウンストロークで、どの指を弦に当てるか。
よく使うのは人差し指と中指の2つだ。
両方またはどちらか片方だけが弦に当たるように弾く。
2つの指はそれぞれ音が異なっていて、人差し指で弾いた場合のほうが音が細い、
中指で弾くと太い音が出る。
指の太さと音の太さや大きさはほぼ比例するので、意識するといいと思う。
中指は人差し指に比べて太く、爪も丈夫なはずなので、
アタックを出したいときは中指を意識して使う。
人差し指より痛みにくいし、より大きい音がでる。
アタック時に、特に制限をしているわけではないので、薬指も当たっている時もある。
稀に親指を使う時もある。
ただし、ダウンアップストロークを連続して行う場合はあまり使わない。
爪の長さと形は音にすごく影響する。
爪が弦にどのように当たるかは、最も注意するところだ。
接点が描く軌道は、指の動きと手首の動きを調整して、なるべく直線を描くようにしている。
1コースから5コースまで、ムラにならないように。
厚みを出したい時は5コースからしっかり弾くことに気をつける。
接点を厚くするか薄くするかで、音質が変わるので意識して角度を調整する。
なお、親指以外でダウンストロークを行う場合、
親指は弦に触らないようにするため、引っ込んでいる。
1−2.アップストローク
親指でアップストロークを行う場合、
弦に触るようにするため、胴体側に親指を移動する。
ダウンアップ時の親指の動きはこんな感じ。(動画3秒)
親指はダウン時とアップ時でポジションを移動させているわけだ。
(当然だが、アップストロークを親指以外で弾くときは、親指はこういう動きはしない)
親指で行う理由は、音量と音質だ。
他の指では出せない音量を生み出し、アクセントを付け、リズムを生み出す。
親指アップストロークは積極的に使っていくべきだろう。
人差し指で行う場合もある。
親指では実現が難しい音色が生み出せる。
爪の長さを調整することで、指の腹を当てるか、爪を当てるかを調整する。
僕の場合は、爪と指の両方を当てている。
ここでも手首と手の動きを意識して、弦に当てるようにする。
2.かき鳴らし
かき鳴らしで使用する指は2つ考えられる。
人差し指、中指だ。
僕は9割9分、人差し指で行う。
疲れてきた。
終わり。(-: