20250112 新たなバリトンチャランゴ注文の検討
AIなどを用いた耳コピ技術の発達により、尊敬するJorge Milchberg氏の作品をコピーしやすい状況になった。
氏はLos Incasの創設者で、「コンドルは飛んでいく」で世界的に有名な人物である。
今後は彼の曲をいくつかレパートリーに加えていきたいなとチャランゴを弾いて考えていた。
今の僕のチャランゴの音と彼のチャランゴの音には当然だが差分が存在する。
もっと彼の音色に近づけないだろうか。
彼のものは僕がよく見るようなデザインのものとは異なっている。
彼はどのようなチャランゴを弾いているのか。
材質は?弦長は?経験上大体の想像は付くが、できるだけ正確な情報を知りたい。
その情報を元に、ボリビアの最高の製作者に作成を依頼したい。
そう思った僕は、彼の息子さんにメールを送ることにした。
しかしお忙しいだろうし、聞いたこともない日本人のメールに返信などくれるだろうか。
メールを送って2日後、予想に反して、返事をいただくことができた。
そのチャランゴは、スペインのグラナダに住むイギリス人 Jonathan Hinves 氏の作品とのことである。
氏は有名なギター製作者で、もうチャランゴを作っていない。
しかし、そのチャランゴのレプリカを作ったことのある優秀な制作家がグラナダにいるので、
彼に依頼するといいと教えてくれた。
そしてJorge氏が使用していたチャランゴの写真と弦長の情報をいただいた。
さて。
当初の予定では、チャランゴは尊敬するアチャ氏に作成依頼する予定だった。
グラナダの制作家氏が浮上してきたが、どうするべきか。
考え中であるが、2人にそれぞれ頼むのが唯一後悔がない選択肢である気がしている。
※ タイトルにバリトンチャランゴと記載したが、この弦長のチャランゴは他にロンロコやチャランゴンと呼ばれることがある。
20250116追記
この楽器の材について、日本人ルシアーの方に写真を見てもらい意見をいただいた。
その意見を元に、ボリビアの巨匠に作成を相談しているところである。
(倉庫にこの材の良いものがあるかどうか調べてくれる段だ)
いい結果になれば良いなあ。
ところで、Los Incas熱が再燃してYouTubeで彼らの曲を聴いていたら以下の動画を見つけた。
これはLos IncasのJorge氏が使用していたバリトンチャランゴで、僕が写真を送って貰ったものである。
概要欄の日本語訳をつける。
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ロス・インカス(LOS INCAS)は、ホルヘ・ミルチベルグ(Jorge Milchberg)の指揮のもと、1956年に結成され、当時ヨーロッパでは未知の存在だったアンデス山脈の伝統音楽を徐々に広める活動を開始しました。
数年後、パリの劇場で行われたオープンマイク形式の公演で、ホルヘは無名の音楽家だったポール・サイモン(Paul Simon)と出会い、友情を築きました。その際、ロス・インカスが最近録音したアルバムを彼に贈りました。そのアルバムには、「El Cóndor pasa」(ペルーの作曲家ダニエル・アロミア・ロブレスが作曲した同名の管弦楽ザルスエラの一部をもとに、ホルヘがアンデスの楽器(ケーナ、ハープ、チャランゴ)用にアレンジした楽曲)が収録されていました。
ポールは「El Cóndor pasa」に魅了され、歌詞「If I Could」を作詞し、ロス・インカスのオリジナル録音に自分の歌声を重ねて録音しました。この楽曲は1970年、アルバム『明日に架ける橋』の一部として発表され、かつてない成功を収め、アンデスの音楽を世界中に広める大きなきっかけとなりました。
1974年、すでに50年前のことになりますが、ロス・インカスが世界ツアーでポール・サイモンのライブに同行した後、ポールはロス・インカスの傑作アルバム『URUBAMBA』のプロデューサーを務めました。このアルバムはニューヨークにある当時最高のスタジオの一つ(A&R Studios)とエンジニア(フィル・ラモーン)を起用して制作されました。
このLPの芸術的および音響的なクオリティは、当時私たちが歩み始めた音楽の道において多くのミュージシャンの心をとらえ、永遠に魅了しました。その後まもなく、ヨーロッパ中に若者や年配者を含む多くのグループが現れ、これらの音楽ジャンルを学び、ヨーロッパ全土に広める活動を熱心に展開しました。私たちにとって、アルバム『URUBAMBA』は真の宝物であり、音楽の基準として非常に重要な存在であると同時に、私たちの感受性に深く響く感動をもたらしてくれるものでした。
このLPの第4曲目では、ホルヘがチャランゴを主役とした唯一の作品「Fugitivo en el altiplano」を披露しています。
私の演奏は、ホルヘの演奏にできる限り忠実であることを目指しました。幸運にも、ホルヘが1984年頃にグラナダのルシアー、ジョナサン・ヒンベスによって製作されたチャランゴを使用する機会に恵まれました。このチャランゴは、現在私の親しい友人パブロ・クルスが所持し楽しんでいます。また、彼は録音と編集、そしてこのテキストの作成においても素晴らしい仕事をしてくれました。
20250123追記
ボリビアの巨匠に作成いただくバリトンは、以下の仕様で作成される見込みとなった。
(倉庫まで探していただいた種類の材は良いものがなかったため、僕が最初に想定していた材をお願いした)
他に塗装の指定をしてみたのだけど、どうなるか。
今後、必要に応じてwhats appで連絡を取ってくれる予定。
・最高の木材
・胴体: アルガロボ
・表板: ヨーロッパ産AAAグレードのスプルース
・指板: アフリカ産エボニー
・ペグ: ヨーロッパ製
・スケール: 45 cm
・システム: Fishman Prefix Pro Blend
インカスレプリカは資金面の懸念により年末に注文する予定である。